「地獄に堕ちろ!」なんていう乱暴な言葉が、ためらいもなく方々で使われている昨今ですが、その地獄とは?ということは、ひと昔前ほど語られていないような気がします。
私の幼い頃は、さも見てきたかのような凄まじい描写で祖父母が語ってくれたような、母に脅されたような(笑)記憶が残っています。
この作品を読み、その頃のことが妙に懐かしく思い出されました。
タイトル通り、芝居好きの閻魔大王が、芝居上手の団十郎に芝居をせがみ、とんでもない災難に遭ってしまうお話です。
団十郎の運命や如何にと、彼にばかり気をとられていたら、見事に一本とられる展開でした。
ラストの、新閻魔大王のちょっと依怙贔屓なのには首を傾げたくなりましたが、昔話のご愛敬ということで許せちゃいました。
方言による表記なのも味わい深く楽しかった。
絵の迫力は、恐いものがなくなっている科学的屁理屈の立つ今の子どもたちを少々震え上がらせることができるものです(笑)。