『にぐるまひいて』のバーバラ・クーニーさんの絵ということで手に取りました。
森の外れの大きな緑の木々から少し離れたところに、小さなもみの木が、少し淋しげに立っていました。
七度の四季が通り抜け、その冬にもみの木は、足の悪い男の子の家へ冬の間運ばれて、クリスマスを過ごします。
春には森へ戻ります。
毎年冬に、男の子のお父さんがもみの木を家へ連れにやってきました。
読んでいて、『もみの木がもっと大きくなったら、これは大変だな』と思いました。
でも、ある年の冬、お父さんがやって来ません。
もみの木と同じ気持ちで、男の子の安否が気になりました。
ドキドキで、ページをめくりました。
なんてあったかい清らかなお話でしょう。
子を思う親心、人間を気づかうもみの木の心、様々な心の通い合いにうたれました。
ラストのもみの木へつるされた、鳥たちのための飾りに、これが“クリスマスのこころ”だなと教えられました。
神は、人のみをつくられたわけではないのだと改めて気づかされました。
詩的な文体にひきこまれ、四季の美しい情景を思い浮かべながら読みました。
クーニーさんの絵は、このお話をより素敵なお話にしていると思いました。