古本屋を探し回ってようやく見つけた1冊です。
人間の行き過ぎた欲望が、世界の終末を近づけるというストーリー、
子ども向けの絵本というよりは、大人に対するメッセージ性の強いものです。
3年間かけて400本の芯を消費してシャープペンシルだけで描かれた
という緻密な絵が、著者独特の世界観を示しています。
細かく描かれた機械の一つ一つをずっと見ていても、飽きない面白さがあります。
「まっくら、奇妙にしずか」という印象的なタイトルどおり、
物語が終わるときの静けさはとても恐ろしいものがあります。
未来のできごとなのか、古代のできごとなのか、それとも私たちがいる世界とは
まったく異なる世界でのできごとなのか。
「奇妙」ということばが妙にしっくりくる絵と、真っ黒に塗られた背景、
少し立ち入るのがためらわれる人間の内奥の暗さに迫るような世界観は、
同時に強い想像力を掻き立てられます。
ただ、こうした耽美的な世界は、やはり大人向けなのかなとも思います。
とりあえず本棚に入れておき、いつか子どもが手に取るのを待ちます。