2004年、新聞広告を見て買いました。当時息子は6歳だったので、いつかこれを読む日が来るだろうと、本箱に入れておきました。
昨年お話会で、“戦争”をテーマに、5・6年生を対象のものをさがしていたので、一足先に小学校で紹介しました。
お手にとった事のある方は、厚いんじゃない?むずかしくない?と思われるでしょうが、写真や地図や人間関係図やら数枚のフリップを作り、リーフレットも生徒分印刷・配布してやってみました。
内容は、実話です。父親が息子に残した絵が、終戦後奇跡的に取り出され、この絵と共にこの実話の証言をもとに、著者のミース・バウハウスさんが、まとめた一冊です。
お父さんは、、製図用具を持っていたので、夜はもっぱらドイツ兵の目を盗み、収容所でのできごとなどの告発を絵に描いていました。
トミーは収容所で三歳になりました。この、収容所では、おもちゃも果物もケーキも、何もありません。お父さんは、『これだけが現実じゃないんだ。』と、こっそり、トミーのためにも52枚の絵を描きました。そして隠しておきました。
戦後、この絵が奇跡的に取り出されました。
私が小学校で読んだのは、この本の著者が出てきた絵の中から52枚の絵を編集し、文を入れた『トミーとお父さんの旅』の部分です。
苦いユーモアとウイットに富んだ、可愛らしい絵ばかりです。
絵(芸術)の力は素晴らしいと思いました。
生徒たちは、良く聞いてくれました。戦争により人生を変えられたり、戦争と武器を持たず戦っていた人がいたことがわかった。戦争は、してはいけない。等の感想がでました。
表紙に描かれたトミーはバラックの窓からトランクを台にして、寒々とした収容所ばかりの世界を眺めている絵です。
これを一冊に著したミース・バウハウスさんは、オランダアムステルダムの中心地、アンネ・フランクの家でも知られているプリンセンフラフトの運が沿いの家に住んでいるそうです。
ぜひ、お父さんお母さんに読んで頂いて、そっとお子さんの本箱に入れておいてください。お子さんがきっと読む時が来ると思います。
息子には「今年はぼくのクラスでトミーを読んでよ。」と予約を申し込まれました。