いちょうの木はお母さん。
いちょうの実は子供たち。
いちょうの実って、あの秋になると黄色く独特の香りで匂う、あの実です。
ちょっと擬人化されて、みんな幼稚園児くらいの「ぼく」「わたし」。
木から離れていく「旅立ちのとき」はもうすぐそこ。
静かに佇むお母さんの木。一言も発することなくじっと。
旅立ちのときを感じてザワザワするこどもたち。期待と不安。
モノトーンの静かなお母さんのページと
黄色い色が楽しげな子供たちのページ。
それぞれの心情が伝わってきます。
そしてどんどん時が熟していく緊迫感も。
宮沢賢治は銀杏の木を、こんなふうに想像して見上げていたんですね。
なんて豊かなイメージ。
子離れのとき、自立のときはまだまだだけど、
いずれ来るそのときはこの木のように静かにむかえるのだろうかと
ちょっと切なくなりました。