明治・大正・昭和と生きた与謝野晶子の童話といえば、「きんぎょのおつかい」だけ読んだ事があります。
こちらの作品を図書館で見つけ、へぇ〜と中を開かず借りてきました。
正月元日の夜が明け、飼われている仔犬三匹が、飼い主の姉弟に年賀の留守中、好きなことをして遊び日記をつけておくことを仰せつかります。
さて、夕刻三匹の日記を読んでみると、元日からこの三匹は電車に乗り、浅草・仲見世・花屋敷・上野と結構楽しんできたようです。
一昔前といってよい頃の日本のお正月の風情が想像でき、仔犬たちと楽しい小旅行をした気分です。
晴れと褻(日常)の境界のはっきりとした生活のあった時代の空気の引き締まった感じが漂います。
お正月という晴れの日に、仔犬たちも外の世界へと自分たちだけで飛び出してみたのでしょう。
今の時代に読んでもユーモラスでドキドキするストーリーでした。
それにしても、与謝野先生の文章に触れ、日本語って美しいなぁって改めて感じ入りました。
つよし先生の可愛い絵でお楽しみください。