息子(当時2歳)と一緒に、この本の読みきかせを聞かせていただく機会がありました。そこで実感したのは「本そのものの選び方も大切だけど、読み聞かせ方って大切なんだ!」ということ。
読み聞かせ用の大型絵本を用いて読んで下さったのですが、こどもたちが美しい色彩で描かれたあおむしや食べ物に触れようとすると、読み手の方が「みんなも青虫さんに美味しいものをたべさせてあげて!」と、笑顔で促してくださいました。
するとこどもたちは、目を輝かせて絵本に近づき、
「あおむしさん、こっちのいちごはおいしいよ!」「ぼくも一緒にたべちゃお。むしゃむしゃ」「青虫さんなでなでしてあげるね!」と、大喜び。
そしてラストの蝶になるシーンでは「おおーー!」とこどもたちから歓声が。「よかったね、あおむしさん!」とニコニコの子どもたち。聞いている大人も、たった数ページの絵本にも関わらず、素敵な映画を見たような気持ちになったのです。
「いい読みきかせ」って、別に声の抑揚や読み手の演技力のことではないんだなあ、と実感しました。いい読み聞かせってただ上手に読むこととはまったく違うのですね。「子どもの心にこの絵本を届けたい」と願って読むこと、本の世界を楽しんでいる子どもの反応や気持ちを尊重すること。それが何より大切なのだなあと教えていただきました。
その読み手の方には、他の絵本もいろいろと読み聞かせていただいたのですが、特に印象に残っているのがこの「はらぺこあおむし」なのです。それはこの本が、美しい色彩、ページに開けられた穴、対象となる子どもや読む状況に合わせて選択できるようさまざまな紙の厚さ・サイズで発行された絵本・・・・と、子どもが絵本の世界に参加しやすいように、さまざまな仕掛けが考えられた絵本だからなのでしょう。