町の片隅に、お腹をすかせた小さいねずみがいました。
まん丸のお月様がチーズに見えて「ちょっとかじらせてよ」と言っても、お月様はちんがりと笑うだけ。
三日月のお月様には、「あんたじゃないのよ。」と言うねずみ。
また満月が近づき、ねずみはお月様が沈む山の向こうがお月様の家だと考え、そこで待つことに。
それでもお月様はもっと遠くの山に帰ってしまうし・・・
でも、山の中には木の実がいっぱい。
お腹一杯に食べて、やがてそこで家族もできます。
夜のお話なので、しっとりしたトーンで話はすすみます。
最初は孤独なねずみだけど、最後には家族(子どももたくさん)ができて、みんなで並んでお月様を見ていて、なんだか心があたたかくなります。
きっとお月様が、木の実がいっぱいの山の中に、ねずみを導いてくれたのでしょうね。
何度か出てくる、お月様が「ちんがり」笑うというフレーズ。
あとで「にっこり」が出てくるので、たぶん意味は「かすかに」とか「ちょっとだけ」の意味だとは思うのですが、辞書やネット検索で調べてみても、あまり出てきません。
どこかの地方の言葉かなとも思ったのですが、さとうわきこさんは東京のご出身のようですね。
さとうさんの造語かな。
でも、なんとなく響きが良くて気に入ってます。