1作目の衝撃作『ともだちや』で、ともだちが欲しかったのは“キツネ”だけじゃなかったんだなと裏付けて
くれる本です。
最初に誰を待っているかを名前を出さない手法もとても効果的だなと思いました。そして、本当、花びら占い
なんかしちゃうところ、とても共感が出来ます。しかも、あの強面のオオカミがですよ! そのギャップが
笑いを誘います。更に、もう来ないんだと分って、悲しみのまま眠った翌日、オオカミがこれ以上傷つきたく
ないから、心を捨ててしまうところ.... なんだか真髄をストレートに描いてくれているなぁと思いました。
友達になったら、嬉しいことばかりではない。小さなことで傷ついてしまうこともいっぱいあるんですよね。
最初のミミズクさんのつぶやき−「おもいちがいをしているなあ、あいつは・・・・。たぶん」で、その思い
違いをしているのが、キツネなのかオオカミなのかどっちだろうと謎かけをされているような気になるのは、
私だけでしょうか?それで最後のページまで、一体どっちが思い違いをしているのかと、読者の関心を上手く
ひっぱているなぁと感心してしまいます。
息子は、最後のページのミミズクさんのつぶやきに大笑いでした。オチが100%分ったようです。ドキっと
するテーマを本当に笑いとともにカラっと伝えてくれて、よい話だなと思います。上手い!内田麟太郎さん!
そして、降矢ななさんの絵も、内田さんの作り上げる話の世界のキャラクターにとてもあっているなと感心
してしまいます。