最初から最後まで、涙なしには、読むことができませんでした。
ロシアの絵本です。実際にあったお話のようです。
いつも一人ぼっちでいる異国の男性の姿が、戦争で両親を5歳の時に亡くし、一人で生きてきたクラウディア自身に重なったのでしょうか。
クラウディアが声をかけたのをきっかけに、日本人男性との生活が始まりました。二人はお互いに支えあいながら、つつましい結婚生活を送ります。
スパイ容疑をかけられ、帰国は絶対不可能という日本人男性には、祖国に、妻と、分かれた当時生まれたばかりの子供がありました。
男性は、国交が正常化されると、年老いた男性は日本に帰ることに。
最後の別れのときに、男性へ渡した一通の手紙の訳文が、一番最後に掲載されていますが・・・。何度読んでも、涙があふれてきます。
この世の中にこんなにつらいことがあってよいのか、と。
日本の家族のもとへ帰る男性も、いくら家族にあえるからといって、つらいロシアで二人で頑張ってきた彼女を一人にする、と考えただけで身の張り裂ける思いだったに違いない。
戦争は、絶対にあってはならない。
私も子供たちも戦争の実体験はもちろんないのですが、こんな恐ろしく悲しい出来事が過去に存在したこと、今後絶対にあってはならないことを、小さいうちから知ることができる、すぐれた絵本だと思います。
5歳の娘でも「悲しい本やなあ。かわいそうやった」と少しでも理解ができたようです。