色が宝物に思える時、この手に持っていたいと母をよく困らせたものだ。幼い頃の、色への驚きと感嘆は、心にしまい切れぬほど大きい。
レストランの地下に住む七人の妖精が、自然の色を次々と集める:葡萄の青むらさき、葉っぱのみどり、林檎の実のあか、蒲公英のきいろ、檸檬のきいろ、空のあお、海のあお、夕焼けのあかねいろ・・・。虹のように消えて行かないでと、祈りながらページを繰る。
私は目が見える。だから光の色に遊ぶこともできる。このえほんは、言葉にも色がさしてある。ありがたい。きらきら、くるくる、しゅっしゅっ。るんるん、ぴっぱぴっぱ・・・。目を閉じて、ことばの色を想像する。
子どもの色への憧れをこの絵本は優しく、眼の前で繰り広げてくれる。毎日毎晩、好きなとき好きなだけ、独り占めできる。ぜいたくだなぁ。
糟谷画伯の世界に、感謝。