悪さをことごとく邪魔されているゾロリは、豚のポイポイの弱点を運よく知る。作戦を練り、ゾロリ城にポイポイと愉快な仲間たちを招待するが…夏の定番「おばけ」をネタに、愉快な冒険が楽しめる。
見間違えからやぎひげ先生を一つ目のお化けだと思ったポイポイ。トラウマになっているものの、正義のヒーローになると全く大丈夫になってしまう。七夕の短冊に書いた願い事や、ゾロリ城で待ち受ける嫌がらせの数々など、駄洒落やユーモア満載でどのページも突っ込みどころが満載。あちこちにちりばめられたギャグを拾っていく楽しみと、妙な方面に突き進む話の筋を追う楽しみで1冊で何度もおいしい。豪華で面白がらせる気持ちが満載のサービス絵本。
圧巻はそうめんの池地獄。なんとゾロリがわざわざ3日もかけてそうめんを茹でまくって自作した、なかなか結構な代物。おそらくクーラーなどは設置していないであろうゾロリ城で、作業中、何度も熱中症で倒れそうになったゾロリを想像すると、あまりの執念深さと思いつきのばかばかしさにクラクラする。
復讐もここまでくだらないと、かえって芸術的とすら思える。その根性を別のことには全く使えないところが、悪役の悲しいところであり、お話の面白いところである。
請求書の山、妙にリアルな展開がおかしくて、夜中夢にでてきそうだ。