ウクライナで起こったことを、実体験として描いた絵本です。ソレだけに、心に迫って来る戦争の実際を突きつけられた思いです。
ある日、いきなりロシアのウクライナ侵攻が始まり、少年の住んでいた家は破壊されました。
いち早く避難した少年ですが、自分の大切な日常は一変してしまいました。
「家」には、何の疑問もない幸せな家族生活があったのです。
避難民としてあちこち移り暮らす少年にとって、家に対する思いが高まります。
住んでいたその場所にあって、失われた生活そのものが家なのです。
国外に逃れることになって、少年は家族も離れ暮らすことになりました。
父親は、戦うために国内に留まらなくてはいけないのです。
ウクライナで起こっているのはそんなことです。
そして、それはまだ終りが見えてはいません。
だからこそ、何年経ってもその場所に戻れる祖国を取り戻したいという願いも揺らぐことはないのでしょう。
長期かすることで、侵攻当初に感じた憤りはマヒしていくことをような気がします。
他国で起こった悲惨な出来事に、関心の比重が移ったようにも思います。
でも、自分の生活そのものがそこにないから、自分たちの思考は平和なのです。
自省しながら、この本の訴えを真摯に受けとめたいと思います。