新見南吉の美しく、懐かしく感じる言葉は、声にだして読んでいてとてもうれしくなる本です。
息子がこの本で一番大好きなのは、きつねの親子が町に向かうシーンで「子供はお母さんのお腹の下に入りこんで」のところで、父親の私が読むと、自分も母親の下に入り、まんまるな眼をぱちぱちさせながら、あっちやこっちを見る動作をまねてとてもかわいいです。
手が冷たいと母親に「お手々がちんちんする」、「いきを吹きをかけて」と手をさし出したり、夜、風の音が聞こえると、「こんな寒い日は森の子ぎつねは大丈夫かな」と心配したり、息子にとって生活の中にとけ込んでいる絵本です。
幼い息子の心で、母親の肌のぬくもりのあたたかさややさしさがやわらかいことばと絵とにとけあっているように思います。