厳しい寒さのなかでのお話ですが、狐の親子の会話や身体の丸み、雪の質感、夜の灯りなどなどからぬくもりの伝わってくる絵です。ほっとやさしい気持ちになります。
母狐は街が近づくと動けなくなってしまって、子狐を一匹で行かせます。体が動かなくなるほどこわい場所に大切な子どもを一人で行かせるなんて・・・。戻ってこないことも覚悟していたのかもしれない、と考えると子狐が戻ってきたときの母狐の喜びと「人間ってほんとにいいものかしら」と何度も自分に問うその姿にまた共感します。
新美南吉の美しい日本語はぜひぜひ子どもたちに伝えたいものです。