畑から掘りおこされた緑色の大きなつり鐘は、何かの象徴だったのでしょうか。
鐘の音は村人たちを幸せな気持ちにさせたのです。
でも、話の顛末には物足りなさを感じたしまいました。ごう慢な皇帝が取り上げようとしても、ピクリ共動かなかったつり鐘です。
重量感と国に対する不屈の反感をあらわにしながら、鍛冶屋の手でその鐘は砕け散ってしまいました。
緑色のつり鐘はもろくもあったのです。
砕け散ったつり鐘は、小さな鐘となって村人たちがそれぞれに個人の幸せのために鳴り続けるのです。
物語はそこで終わってしまいます。
そこに不思議さを感じました。
ごう慢な皇帝の国政は変わらないでしょう。
村民は小さくなったレプリカのような鐘の音で満足して暮らすのでしょうか。
ロシアを舞台にして描かれた物語が、2023年の11月というタイミングで出版されました。
思い切り今のロシア国民の気持ちを連想してしまいました。
国民たちは小さくなった緑の鐘で、幸せなのでしょうか。
読み取り方はいろいろです。