5匹のキツネたちは
どんな人間に化けたかったかといえば
県庁のお役人さん。
けれどコンコンがなりたかった人間は
もしかしたら五助じいさんだったのかな?
毎日「タポンタポン」を聞きながら
じいさんの後をついていったコンコンの目の前には
いつもいつも水筒代わりの湯たんぽがあったから
湯たんぽが五助じいさんそのものに思えたのかな?
おかげでご隠居さまのひざでコンコンもぬくぬく。
じいさんもいい心持ちになれて、めでたしめでたし。
さて、このお話、頁を繰るごとに郷愁が漂います。
ストーリーも昔話風な素朴さとあたたかみにあふれているのですが
描かれている草花が
私が子供の頃、道端や社宅のどこの家の庭にも咲いていた花ばかり。
小屋の前に咲くのは、ぎぼうしかな?紫蘭かな?
切り株の前には丘虎の尾。
我が家の隣の空き地には一面月見草が咲いていたし、
お地蔵さんの周りのイヌタデや
掲示板の足元のアザミ。
ご隠居さまの家には鶏頭や立葵、松葉牡丹。
おしゃれな片仮名の名前の花じゃなく
植えるともなく咲いていた花たち。
なんとも懐かしくあったかい。
コンコンの湯たんぽのほっかほかも
こんな感じだったのかな?