この、暗い色彩が最近の絵本にはない奥行を出しています。
独特の表現も、怖さを後押ししていて良い。
握り飯を「ぴつっ ぴつっ」と握る音、山姥が男を桶に入れて運ぶ時の「しっとりしっとり重たいぞい」。じわじわと静かに聞き手に迫るこの感じ。
最近の子供はあまり昔話を知らない、知っていても微妙にストーリーが改変されている、ということを耳にします。
退屈するかな?と低学年に読んでみましたが、みんなじっと聞き入っていました。
私は、この話が生まれた背景が気になりました。
いつの時代も、妻をあごで使うような夫がはいて捨てるほどいたのでしょう。家事一切を任せる割には、何の評価も感謝もしない。
昔話として脈々と受け継がれてきたことに、怨念を感じます。