新美南吉という人の人柄がよく現われいるお話だなと、思いました。
有名どころのお話はいくつか知っていましたが、この話は知りませんでした。でも、所々覚えのあるシーンもあったので、もしかしたら、小さい頃に祖母か誰かから聞いたかもしれませんが、ちゃんとお話を読んだのは今回が初めてです。
この絵本は2005年にさいとうよしみさんの絵で出版されています。
「かしら」以外の盗人の顔が少々コミカルにデフォルメされているような気もしますが、各々のキャラクターがよく出ていて楽しい絵になっていました。
表紙絵にドドーンと描かれている緑多い豊かそうなこの『花のき村』の風景もいいですね〜。
不意に現れた旅人に竹笛を聞かせたり、仔牛を預けた男の子(もしかしたらお地蔵さま)、ざっくばらんで気さくな村の駐在さんなど、村全体の人々の心が豊かなのがとてもよく伝わってきました。
「かしら」の涙が止まらなかったのも、素直にうなずけました。
こんな村が本当にあるなら、一度は訪れてみたいものです。
とても心が優しくなれる作品です。
特に今日は(本を読んだこの日)少々仕事のことで落ち込んでいたので、この話のおかげで嫌な気持がすっかり洗い流されて、いい気持ちになれました!
小学校高学年くらいから、中学生・高校生にもお薦めです。もちろん大人が読んでも心があらわれます!