魔法学校を抜け出してきた少女から聞かされた「魔法の杖」を手に入れようとあれこれ画策するうちに、伝説の三人の勇者・正義の味方にされてしまったゾロリ一家。
魔法の杖は手に入るのか?(前半)
2003年刊行。ページが少なくなってきたのに、話がまだまだ終わらないと思ったら、なんと「1冊じゃ書ききれなかったよ」と作者の「ごめんなさい」が最終ページに。
素直に謝ることができる、心の美しい大人である。
そしてお話は、セコくて汚い大人の事情が山盛りで、万能の杖を手にした物が、自らの欲望に支配されて堕落していく…という醜い争いが大展開。そんな世界も表現できる筆者の守備範囲の広さが素敵だ。
ゾロリの話は、基本的に子ど向けなので軽くて楽しい内容が多いはずだが、読んでいる私は単純明快に楽しむと当時に、ちょっと深読みして「人の心の病み・闇」を感じてしまったり、社会に対する意見としてとらえてみたりしている。
このお話も、巨大な権力を持った人間が、身の振り方を間違って、周囲を巻き込んで不幸になっていく様子を見てしまった。身の丈に合わない強力な道具や、強大な力を得てしまうと、わがままが爆発。なんてこったい。
さて、後半が楽しみだ。
毎度、いろんな展開で、話がジェットコースター並みにいろいろ急展開して飽きさせません。
巻頭、巻末に読者のお楽しみゲームやもろもろのサービスがあって、たっぷり楽しめる構造になっているのも嬉しい。
これでお値段900円(税別)ですって。
世の中を明るくするサービス価格ですよ。さすがっ!