五味太郎さんのしかけ絵本。
1983年2月「きいろいのはちょうちょ」、7月「とうさんまいご」、11月「まどからのおくりもの」の三部作の丁度まん中の作品です。
「まどからのおくりもの」が何と言っても、最高傑作の一つと言える出来栄えですが、この「とうさんまいご」も負けず劣らずの傑作しかけ絵本です。
出だしからして最高です。
「ぼくが おもちゃを
けんきゅうしているうち・・・・・・
いつのまにか
とうさんまいご・・・・・・」
この文章だけで、子供の心は鷲掴みのはず。
それから、ぼくの「迷子のとうさん探し」が始まります。
一寸見え隠れするとうさんの背広、帽子、ネクタイ、靴等を見て、とうさんだと思って、しかけをめくると、全くの別人。
その見せ方が、五味さんならではの着想で、思わず唸ってしまいます。
最後のページのしかけは、何と文章。
子供には直ぐには分からないかも知れませんが、素晴らしいしかけです。
とうさんと言うには、一寸老けているかと思ったのですが、その恰好は27年前という時代背景からとも言えそうです。
記憶を辿ると、私の父も帽子は好きでしたが、今はそれ程帽子を被っている人を見かけなくなった感があります。
おもちゃは巨大だし、タイプライターなんて売っているのですから、時の経過を感じます。
それでも、このしかけの楽しさは、永遠のもの。
背景の絵は、気になりません。
それにしても、とうさんまいごというネーミングには参りました。
私も、気を抜くと、ママと子供達からはぐれてしまいそうになることがあります。
世のパパで、このフレーズにドキっとした人も多いのではないでしょうか?
パパは、子供のことより、自分のことと言われそうな、そんな題名に身の引き締まる思いがしたパパも必ずいるはずだと思います。
是非、パパに読み聞かせして欲しい作品の一つです。
親子ともども、楽しめると思います。