池澤夏樹さんと黒田征太郎さんのコンビは、忘れられないために戦争を追い続けているのでしょうか、心に突き刺さる角度で、歴史を見直し続けているように思います。
最近、学童疎開のために航海していた対馬丸の悲劇にスポットをあてたニュースを耳にして、タイムリーにこの絵本と出会いました。
対馬丸は多くの命を失った姿で、海底で眠り続けています。
その対馬丸を撃沈した潜水艦はパールハーバーで展示されていると言います。
原爆を投下した飛行機エノラ・ゲイの展示が計画されたことがある事を思い出しました。
多くの民間人の命を奪った潜水艦は、どのように評価されるのでしょうか。
この絵本は、それぞれの船舶の歴史を辿りながら、お互いが語り合うという、構成で話が進みます。
相手が軍用艦でなくても攻撃するのか。
知らなかったで済ませられるのか。
どんな相手でも敵とみなされたら、攻撃対象となるのか。
この対話が響いてくるのは、今まさに海外で国際法を無視した殺戮が行われているからです。
歴史を辿りながら、現在形で考えさせられる力作です。