棹の先端部分が馬の頭の形をしている楽器、馬頭琴にまつわるモンゴルの昔話です。
愛し合う若い男女の架け橋となる天馬ジョノン・ハルは、その名のとおり翼を広げ天を駆けます。
モンゴルの大草原を駆けるジョノン・ハルの姿はとても生き生きとしています。
そして優しい顔を持ちながらも、時には力強さも見せる馬でした。
とてもほのぼのとしたお話かとばかり思っていただけに、ジョノン・ハルの最期には胸が痛みました。
何の罪もない人や動物が傷つけられるのは、やっぱり見ていて悲しいです。
その直前の安心しきった表情がとても優しかっただけに。
読後しばらく経っても、その穏やかな表情が頭から離れませんでした。
馬頭琴に姿を変えたジョノン・ハル。
きっとその後は優しい飼い主の下で、穏やかな音色を奏でていたことでしょう。