小さい頃の子どもって、自由に伸び伸びと絵を描いています。
我が家にも、子どもが、幼稚園生だった頃の作品を飾ってあります。心のままに、楽しさが伝わってきます。我が子は天才かしら、なんて思ってみたり。それが大きくなるにつれて、上手に!ということを意識し始めて、自由に描くことを楽しむのをためらってしまったり。
この絵本のおしまいっぽいことばに「じぶんのために絵をかくこと、じぶんの声に耳をかたむけることを教えてくれた美術の先生に、この本をささげる。」と記してあります。
すてきな先生との出会いは、一生の宝物ですよね。
そして私たちは、この絵本を通して、素敵な先生に出会えました。
この絵本の主人公ラモンが大好きなお絵描き。ところが、幸せ色の日々が、おにいちゃんの心ない一言で濁った色の日々に変わってしまいます。でもそれを救ってくれたのは、妹。「あたし、このえがすき」「かびんもきもちがするもん」そりゃあ絵が上手なのも素敵なことだとは、思います。でも一番大切のは、自分のまわりの世界のいろんなものを感じながら、「っぽい」絵を楽しく描くこと。訳者のなかがわちひろさんも、あとがきっぽいひとことで言っているように、「こうでなければならない」というということから解放されることなんですね。
それって絵を描く時だけでなくて、文章にしてもダンスなどにしても自分の中の何かを表現するするときにも言えることだと思います。
ピーターレイノルズさんの「てん」「そらのいろって」とあわせて三部作になっているんですね。この2冊もおすすめです。