この本を読んで一番最初に思ったことは、今やアメリカ屈指の都市であるシカゴに、かつては多くの孤児がいて、西部に養い親を探しに行かなければならなかったという事実です。
孤児たちが移動した距離は想像できないほどです。アメリカの中部から西部へ列車で移動するのですから。
孤児たちは、アメリカは広くて大きいということを実感します。窓に写る見たことのない風景が、列車が進むとともにまた変わっていくのです。本を読んでいる自分も孤児たちと一緒に旅をしているように感じました。
旅の途中、些細なもめごとや事件が起きたりしますが、そんなことはお構いなしに、列車は西部を目指して走り続けます。そして途中下車して「品評会」でおめがねに適った孤児だけが、養い親に連れて行かれるのです。幸か不幸か、最後まで残った孤児は、ロジーナでした。
物語が終わりに近づくにつれ、いったいロジーナはどうなるのだろうと私は心配でたまらなくなりました。できるならば、しあわせになってほしいと願いました。
こんな弱気の私と違い、ロジーナは、しあわせになるためのきっかけを自分で考え、自分でつかむのでした。
ロジーナが、将来、どうなるかはわかりません。
しかし、「カリフォルニアの、まぶしい日ざしの中へ」歩き出した彼女なら、自分自身の手で道を切り開いていくことでしょう。
私が図書館から借りてきたにもかかわらず、私より先にこの本読んだ中学1年の娘から「おもいろいよ」と勧められてしまいました。まぶしい日ざしの中へ歩き出したロジーナのように、ゆっくりで構わないので、我が娘も自分の道を見つけてほしいと思ったのでした。