日記を書こう、とゴリラの子が決めるところから始まるお話です。なので、これといってつながったお話ではなく、季節季節のひとこまを切り取ったような感じでゆっくりと読み進む、そんな絵本です。
まず1ページめで「そうだ、きょうからにっきをかこう」と主人公であるゴリラくんが決意するさし絵、よーく足元を見てみるとかえるやとかげが「ヤメトキナ」「がんばれ」「きっとむりよ」なんて野次や励ましの言葉をてんでにちいさく言っていたり、日記帳を買いにいったぞうさんのお店の看板には「ぞうとうひん」なんて言葉もあったり(動物たちも盆暮れにはなにか贈るのかしら...?)、すみずみまで遊び心がたっぷりです。
そして、読み聞かせをするうちに、ゴリラの住む土地というよりは日本の季節に近いように描かれた世界で、1年のうつりかわりを知らず知らずのうちにこどもたちも感じ、さりげなく(でもしっかりとリアルに)ゴリラやそのほかの動物たちの生態も知ることができます。
およげなくて少しがっかりするゴリラくんがその日の日記に、およげなくてもほかのこと(おすもうとか)が得意だからいい、と書くところも、なんだか子供らしくてかわいくていいなと思います。