作者が『ノイマンじいさん』と名づけた、ドイツ製の古いピアノと出会い、その古いピアノがきかせてくれた昔話を詩にしたもの。そして、あべ弘士さんの絵が添えられています。
ゴツゴツしたピアノに、風が語りかけ、うれしくて夢をみる。
やわらかい土 あふれるいずみ
りすが かけのぼる おおきな木
ことりがとまる ちいさなえだ
ひるがえるはっぱの ひかりとかげ
むかし うたごえいっぱいの
大きな森にいたころの夢をみた
感性あふれる詩は、その情景がまるでこの場で起こっているように目の前に浮かびます。そして、動物大好きのあべさんの描く風景や人物は、また独特の世界を作ってくれています。動物の表情に心が癒され、穏やかな気持ちで、ピアノが語る思い出話に耳を傾けることができます。
長い時間をかけて、多くの人に出会ったことは、何物にも変え難い宝物だと思いました。