“可愛い”というキャラからほど遠そうな登場人物が、ずらり手縄で縛られ歩いている表紙絵に、吹き出し、なぜかしら魅力を感じてしまい読みました。
オチョグニは、 日本の鬼瓦やシーサーのように、屋根の上の“魔よけの為の飾り瓦”。
中国起源の走獣が伝わったようですが、韓国では西遊記のメンバーがオチョグニのキャラになってることにも驚きです。
…はるかなむかし 、遠く離れた星にある 天の国は オチョグニ五人組のいたずらのせいで、穏やかな日が一日もなかった。
天の国の王様は、お怒りになり、オチョグニたちを召し捕らせ、五人の罪状を並べたてた。
五人の弁解に大笑いしました。
それぞれがユニークで良い味を出し、お話の展開を面白くしています。
息子の言葉を借りれば、キモカワ系っていうんでしょうか?
王様のもう一つの悩みの種は、天の国のはしっこに住むゴン(韓国名はソン・招かざる客の意)というおそろしいおばけ。
王様はオチョグニ五人に、十日以内にゴンを捕獲してくれば罪を許してやることに…。
さて、五人の健闘やいかに…。
創作民話のようですが、な〜るほど、それでオチョグニは屋根の上にいるんだと納得できる結末です。
親しみの持てる語りかける文体は、お父さんが読み手だと一層雰囲気が盛り上がりそうです。
それにしても、韓国文化を何気なく伝えているこの版画といい高句麗古墳壁画(『舞踊図』etc,)や青銅器などのコラージュが素晴らしい。
お話に夢中になりながら、とても自然に異文化と接することができる一冊だと思います。