むし嫌いの方にも是非お薦めします。大人気「がたんごとん」「おばけでんしゃ」に続く第3弾ですが、もし表題の“むし”の文字に敬遠している方がいるなら、非常にもったいない、ちょっとだけ開いてみて下さい。むし以外にも、お侍さんやオニ、ふんどし姿の馬、どこかで見たような前掛けをしたカブトムシ‥シリーズ前作のみならず、西村作品の至るところから紛れ込んだかのような豊かな登場人物に、もしかしたらあれかな?と会話も広がりながら、何冊分もの満足感が得られました。
さらに、キャベツ畑のページを開いた瞬間の、困惑ののちにやってくる感動は、なかなか味わえない感覚です。
我が家では思わず「そんなことってある?」が口からこぼれて、家族でしばらく考え込む時間が流れました。うれしいうれしいドッキリです。西村ファンならずとも、必見の価値ありです。
最後のページ、いもむしがチョウになり飛んでいきます、という一文に、故人への尊敬が籠もっているようにも感じられました。