短いことばと、草むらや海といった田舎の風景が、ぴったり合って、静けさのなかに、雨の音や、少年の駆ける足音まで聞こえてきそうな迫力がありました。
子どもに読み聞かせるときに、「みさき」ということばや「きせん」ということばが理解できるかどうか、迷うところですが、話をたどっていくことによって、そんな心配は払拭されていくと思います。
絵本のなかの少年が住むような、自然に囲まれたところには生まれ育っていなくとも、夏休みの、とくに楽しいことばかりが続くわけでもない淡々とした日々のなかでの一こまが、なつかしく思い出されます。今の子どもたちには、この絵本の風景が新鮮なものだったり、憧れのようなものだったりするのかもしれないなあ、と思いました。