ライオン王が飢饉に苦しんでいました。そこで、食べ物大臣と二人で自転車にのって、食べ物がたくさなる隣国へ、食料援助のお願いに行くことにします。この隣国がすごいのす。本当にたくさん食べ物があるのですが、作者の表現力には舌を巻きました。だって、たくさんのケーキや、パイや、クッキーが山のようにそびえたっているんですから。それも手を伸ばせば食べられそうなくらい、本当にリアルなのです。もう、読んでいて食いしん坊には、たまりません。生唾がこみ上げてきました。
ところで、隣国の王様は、とても太っていて、いばりん坊で、けちでした。ライオン王を泥棒呼ばわりをして捕らえようとするので、二人は、また自転車に乗り自国へ逃げます。太った兵隊たちは、戦車に乗るのも、馬に乗るのもままならず、軍用車はパンクするありさまで、なんともお間抜けで笑えます。おまけに、戦争もまるでコントのパイ投げ状態で、誰も死んだりしないので、子供でも怖がらず、安心して読んであげられます。
読後に、子供たちとどれが食べたいかで、大いに盛り上がりました。でも、どれも甘そうな物ばかりなので、太った王のように強欲な気をおこすと、胸焼けしそうです。
絵が美しく、ユーモアたっぷりで、とても楽しいお話です。