思い出話をしましょう。
私の小学入学のお話です。ランドセルを母方の祖父に買ってもらいました。
おじいちゃんはそのランドセルを私の家まで自転車で持ってきてくれました。ところが、途中溝に落ちたといいます。
おじいちゃんの怪我はどうだったのか、ランドセルは無事だったのか、まったく記憶がないのですが、私の初めてのランドセルは、こうして私の手元に届きました。
生まれて初めて背負うランドセル。
きっと誰もが持っているだろう、甘酸っぱい思い出。
『となりのせきのますだくん』で第15回の「日本の絵本賞」を受賞した武田美穂さんが、続いて描いたのが、その「ますだくん」の方から描いた世界。
お話はますだくんがまだ5才の頃から始まります。
ますだくんにはお兄ちゃんが二人とお姉ちゃんが一人、そして妹が一人います。
お姉ちゃんは小学6年生、お兄ちゃん二人も小学生なので、ますだくんはいつも妹の世話係。
きびしいお兄ちゃんの指導? のもと、ますだくんはどんどん強くなっていきます。
あこがれはランドセル。
お兄ちゃんたちはランドセルに触らせてくれませんが、やさしいお姉ちゃんは小学校卒業時にランドセルをますだくんに譲ってくれました。
でも、赤いランドセル。
でも、ますだくんはそんなことへっちゃらです。
そして、そんなますだくんも晴れて小学校に入学します。
もちろん背中には赤いランドセル。
ますだくんのとなりのせきは、ちょっと泣き虫の「みほちゃん」。
これがますだくんとみほちゃんの出会い。
まさか、みほちゃんから怪獣のように思われていたなんて、ますだくんはちっとも知りません。
そうそう、ますだくんの名前はけんいちです。