この絵本は、5つの章と、エピローグからなっています。この一つ一つの章が、まるでお芝居の舞台を見るかのように繰り広げられていきます。
登場人物は、台座にFAITH『信じる』と刻まれた、長いねむりから目ざめた大理石像の女の子と、床にしかれたトラのじゅうたん。
大きな屋敷の中の年老いた公爵の読書室を舞台に、この二人の会話で物語が進められていきます。
デイヴィッド・ルーカスといえば、カラフルな絵が頭に浮かんできますが、この『ほらふきじゅうたん』では、象牙色というのでしょうか、白にうっすらと黄色を混ぜた色の紙の上に、モノトーンで絵が描かれています。このように敢えて色をつけなかったことが、読者の想像をくすぐり、このお話の舞台から目が離せなくなります。
FAITH『信じる』という台座に座っていた女の子が「私は生きてる!」と信じることによって、人間の女の子になったように、私たちが生きていく上でも「信じる」ことから始まるということが多いと思います。私たちが、人間の女の子になれるかどうかは、「信じる」ことにかかっているのです。