こねこたちにおっぱいをあげているときの、おかあさんねこのしあわせに満ちた顔。
娘は、1ページごとに、こねこたちの成長を、おかあさんねこの目線で追っています。「クロちゃんは、おかあさんとならんであるいて、うれしそうだね。ミケちゃんは、まってよ〜って、いってる」「ああ、ミケちゃん、いっぱいぎゅうにゅう、こぼしちゃったよ」「クロちゃん、あんなとこ かじっちゃダメだよ!」・・・そして、電話のベルが鳴ると、娘も大慌てで、布団の隅まで走っていきます。驚いたこねこたちの、つめとしっぽが可笑しいようで、このページは何度読んでも、笑い転げています。
いつのまにか、3匹とも大きくなって、おかあさんのかごのベッドからはみ出しそうです。ある朝、こねこたちは、それぞれ別の家へともらわれていき、おかあさんねこはごはんも食べずに、こねこたちを探して歩き、なきつかれて眠ってしまいます。娘は、「どうしたの?どうしてないてばかりいるの?ごはん、たべないの?」と、毎回おかあさんねこのことを心配して、おかあさんねこのさみしそうな顔をじっと見つめています。でも、夢の中で電話が鳴り、トラちゃん、ミケちゃん、クロちゃんの声を聞くと、娘もほっとした表情を見せ、「トラちゃんは、あかいおリボンをむすんでもらって、よかったね。ミケちゃんは、おばあさんにけいとのマフラーをあんでもらったの?クロちゃんは、おさかなやさんのこになって、おさかなをいっぱいたべたんだね。」と、おかあさんねこといっしょに、こねこたちのしあわせを喜んでいます
こねこたちとの電話の後に、しばらくじっと一点を見つめてうつむいているおかあさん。母親の気持ちがひしひしと伝わってきます。私も、日本にいる母のことを思い、そして、いつか私の元から巣立っていく娘のことを思い、おかあさんねこの気持ちに重ね合わせて読んでいます。
朝になって、あたたかい日差しがおかあさんねこの上にも注がれると、娘は、「おかあさん、おさかなも、ごはんも、ぜんぶたべて、あんしんして、ねんねしてるね。にこってわらってるね。」と、今度はおかあさんねこのしあわせを心から喜んでいます。