くまのオルソンは、体が大きいばかりに森の動物たちから恐れられ、いつもひとりぼっち。でも、小さなくまのぬいぐるみを見つけて以来、オルソンの生活は一変します……。
(雑誌など児童文学専門家の間で)評判の高い絵本を開き、う〜ん、納得しました。終わり方に好き好きはあるかも知れませんが、オルソンの置かれている立場、寂寥感漂う背景には考えさせられることがいっぱい。じんわ〜りと心に染み入る作品でした。ぬいぐるみを見つけたときのオルソンの一言は、胸に突き刺さります。その晩、自分がおとうさんになる夢を見たというところも、彼の今までの孤独感が伝わってきました。
子供は読後のお話作りを楽しみ、大人はオルソンの人生を振り返り……と、いろんな味わい方ができます。最後の終わり方は映画の一シーンのよう。こういう終わり方のヨーロッパ映画って多いような気がします。(作者たちはベルギー人。)息子の反応は「ふ〜ん」というものでしたが、わたしは奥の深い作品に魅せられました。同じ作者の『オレゴンの旅』(これもくまが主人公)も読んでみたいなあ。
対象は就学前後から。でも、小学生の方がどちらかというと楽しめるでしょう。