表紙のおばあちゃんの絵に、とても暖かいものを感じて、思わず手に取りました。
日本の故郷の情景を見事に描ききっています。自分の故郷ではないけれど、読んでいてすごく懐かしいような気持ちになり、切なくなりました。
ユキの大おばあちゃんは、北の雪国に住んでいて方言がきついので、現代っ子のユキには、親戚の通訳がないと、話もままなりません。でも、みんなが大おばあちゃんのことが大好きで集まってきます。
ユキが帰る時には、
「まんだ こいへ」(また、おいで)
と言って優しく微笑みながら、見送ってくれます。
その、標準語にはない言葉の温かみが、すごく伝わってきます。私は、もともと、方言にすごく憧れがあり、それぞれの方言の持つ温かみが大好きなのですが、この本は、そんな私のツボにはまりました。
この言葉を最後に、ユキは大ばあちゃんの方言を聞くことはできなくなるのですが、火葬場の場面では、もう、ウルウルしてしまい涙をこらえるのが大変でした。
よく、人は死ぬと星になると言いますが、ここでは、大ばあちゃんは、月の中に表われます。
最後は、とても切なく、じーんときました。