この表紙を見るだけで・・
そして、タイトルを読めばなおさら・・
何かしらのメッセージを訴えかけているのが誰にでもわかると思います。
物悲しいような、心に闇が見え隠れするような、そんな繊細な心までもが絵で表現されていました。
少し、大げさかもしれませんが表紙をみるだけで、背筋がピンと伸びる思いがして心してページをめくりました。
一ページめくると、そこには内田さんがこの絵本を書くことになった経緯が書かれていて納得しました。
読んでほしい相手はY子さん。
幼児虐待という問題は、現代では社会問題にもなっています。
地域の繋がりが薄れたことや、核家族家が増え、孤立した子育てをしているお母さんもいるでしょう。
ましてや、親に愛されたという経験、抱っこされた経験がないというお母さんが、子どもを産んでも・・愛し方がわからないというのも当然の話かもしれません。
なんだか信じられないような気もしましたが、きっと、自分が知らないだけで、こんな悩みを抱えて一人で苦しんでいる母親も多いのかもしれません。
まねっこでもいいから抱っこして。
我が子が愛しいという気持ちがわからなかったおかあさんの暗い顔、一人で遊ぶ子どもの姿・・切なさで胸が締め付けられる思いがしました。
この絵本の中で唯一、陰気な色合いが明るくなるページがあります。
心の中に降っていた雨があがっていくと表現されています。
数ページ前から徐々に絵本の闇に光が差し始めるのがわかります。
動物たちが登場し、それを見る親子の笑顔。
きっとここまでになるまでにどれだけの時間がかかったのかは到底計り知れませんが、最後の空のページにホッと安堵して、最後の二人手をつなぐ影に思い切りエールを送りたくなりました。