娘が小さい頃からのお気に入りの1冊に、同じ作者の「あやちゃんのうまれがひ」という本があります。このお話は、あやちゃんの“男の子版”といった感じでしょうか?
どちらも、6歳になった誕生日(あやちゃんは、その少し前)に、自分が赤ちゃんだった頃のことを、お母さん、お父さんから聞く、という設定ですが、あやちゃんのほうは、文字通り「うまれたひ」のことを中心に、あやちゃんの誕生を待ちわびる家族の様子や気持ちが丁寧に描かれているのに対し、こちらの本は、ぼくが生まれた瞬間から、初めて歩いた日までの約1年の出来事や成長を、未来(6歳)の「ぼく」が、そっとのぞいているような、すてきなレイアウトになっています。
先に1人で読んでいた娘は、「あやちゃん・・・」と同じく、この本も気に入ったようで、にこにこしながら、「1番おもしろかったのはね・・・」とページをめくり、オムツ換えのときにお父さんが「おしっこシャワー」を浴びる場面を見せてくれました。そう、男の子は、よくおしっこシャワーをしちゃうんだよね、と話すと、「え〜! 絶対(自分の赤ちゃんは)女の子がいい!!」と、言い切っていました。
そして、いたずら盛りのページにくると、「Jも、ティッシュペーパーを全部出しちゃったの?」とか、「でも、こんなことはしなかったでしょ?」なんて、自分が赤ちゃんだった頃のことをいろいろ聞きたがり、当時を懐かしく思い出しながら、娘のいたずらの数々についても、たくさん話してあげました。
表紙の「1さいのたんじょうび」の写真(の絵)も、素敵ですね。娘のために焼いた初めてのケーキに、たった1本だけキャンドルを立ててお祝いした誕生日が、ついきのうのことのようでもあり、はるか遠くに過ぎ去った昔のようにも思えます。
生まれた日のことはもちろん、初めて熱を出した日のことや、初めて立った日、歩いた日・・・と、あの頃のことが走馬灯のようによみがえってきて、最初の1年間が、どれだけ親としての喜びと感動に満ち溢れたものであったか、と今さらながら気づかされた思いでした。
できることなら、もう1度あの日々を繰り返してみたい、今度はもっとゆとりを持って、心の底から楽しみながら・・・。