彫刻のドナテルロ、絵画のマザッチオと並び初期ルネサンス様式の確立者である建築家・彫刻家フィリッポ・ブルネレスキの実話です。
家業は継がず、彫刻家として作中に出てくるロレンツオ・ギベルティとの制作競技に敗れた後、ローマに赴いて建築に転向しました。
15世紀、イタリアのフィレンツエのサンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂のドーム建設は、その巨大さゆえに当時の建築技術では不可能と思われていました。
この難問を解決したのは、「変わり者」とばかにされていた建築家フィリッポ・ブルネレスキでした。
彼の発想は鋭く聡明で既知に富んだ人物だったそうです。
建築(創作)への押さえがたい衝動が、理不尽な人事に煩悶しつつも彼をこの大偉業へと導きます。
模型作りのページで出てくる、“胸の隅っこでパチパチ弾ける感じがした。”は喜びの感覚。
この表現が、ピッポの並々ならぬ才能と情熱を物語っていて、読んでいて理解しやすいと思います。
〈あとがき〉にも写真は出てきますが、ドームの建築途中の描写や完成(実に16年の歳月をかけています)の絵を見て、その時代に立ち会ったような気持ちになりました。
最近聞いた岩代太郎さんの父君浩一さんの、「~になりたい、~したいという気持ち(衝動)を継続できるかできないかが、、才能があるかないかのキーポイントだ」という言葉を思い出しました。
高学年のお話し会に使ってみたいと思いました。