娘は福田岩緒さんの絵になぜか惹かれているようです。さして特徴的でも魅力的でもないと思うのですが(失礼!)。
強いて言えば、人物がみんな暖かい表情をしています。また、一昔前の人間が登場します。というよりも、流行に左右されない普遍的な人物像が描かれている気がします。そのあたりが娘を惹き付けるのでしょうか。
「がたたんたん」は、電車に乗り合わせたなんの関係もない人々が、小さな出来事がある度に「知り合って」行くお話です。始めはグレーで描かれていた人物が、知り合っている最中は薄茶になり、知り合った後ではカラーになっているのが、面白いです。実際の生活でもそうなのかもしれません。赤の他人に関しては私たちはそこにいるらしいという程度の関心しか持ちません。この本でグレーで描かれているように、どんな服をきていたか、どんな表情をしていたか気にもとめないのです。それが、知り合いになると、とたんに生き生きとしてくるのですから。
文章が少ないのですが、そのぶん絵に集中して見ることができました。