タイトルに???
表紙絵を見て、え゛〜〜〜?
思わず開いてみたくなりました。
ノンフィクションです。
お話しは、19世紀半ばも過ぎた頃〜後半でしょうか。
イギリスロンドンでは、蒸気機関車・電話・電灯の普及で話題もちきりの時代です。
ヨークシャーの農家の二人の兄弟、リチャードとチェリー。
村の学校に通い、牧場のヒツジ番をし、丘を上り下り、自然の中ゆっくりじっくり色々なものを眺め、生き物が作る形や動きの見事さをたっぷりと見つめ育ちました。
ヨークシャーの野山には、二人の男の子がわくわくする素晴らしい発見がたくさんありました。
長じて、兄のリチャードが、4年後父の死もあり弟のチェリーも15歳でロンドンへ働きにでます。
賑やかでごった返すロンドンの町に魅力を覚えぬ兄弟が、思いを馳せるのは、幼い頃のふるさとの野山。
週末になると、二人はできるだけ田舎に住む友人宅へ遊びに行くようなります。
ある時弟チェリーはカメラを携え、……。
一枚のツグミの巣の写真から始まります。
兄は弟の見事な写真に、もっとたくさん撮ってみてはと、兄弟共に時間をやりくりし、兄弟で撮影に出かけるのです。
望遠レンズや遠隔操作機のないこの時代です。
さらに、彼らは鳥たちのリアルな生態に迫る撮影のため、鳥たちを怯えさせたり驚かせたり生活のじゃまをしないよう、様々な「かくれみの」に工夫を凝らし、たくさんの名ショットを撮り続けます。
この「かくれみの」の徹底した工夫に、時に笑いながらも親子で驚きました。
この情熱の傾け方は、他人には思い及ばぬ“彼らが望むしっくりとした幸福感”を充たすものだったのでしょう。
科学的発明と進歩発展の予兆が感じられるこの時代、彼らのなした偉業は、“自然を守り愛する事”を忘れぬよう、彼らなりのスタイルで、人々に伝えた説得力のあるものです。
巻末の写真で、改めてそう実感しました。
「かくれみの」は、狩猟のためではなく、野生の生き物の暮らしを守り敬うためのものであるというチェリーの信念に、息子は感動していました。