年をとった鰐は、足が痛くて、自分でえさをとるのも大変でした。でも、生きていくためには食べないといけない。そこで、近くで寝ていた孫の鰐を食べてしまうのです。
表紙の、衝撃的な絵は、多分その瞬間でしょう。
そのことで、仲間から攻撃を受けるのですが、年をとって硬くなった体の皮には、歯が立ちません。仲間を捨て、ひとり海に向かうのです。
モノクロの世界で淡々と、お話は進んでいきます。でも、よく読むと、とっても恐ろしい世界。でもそれが現実なんだと気づくと、改めて生きていくことの厳しさを実感することができます。
最後まで、『鰐』を貫き、そして、『神』とまで崇められ、どこか、人間世界にも通じるところがあるような、とても奥の深い作品だと思います。