特に子どもが見たらまずいような雰囲気をタイトルや表紙の絵からは感じられなかったのに、低い評価が多くて気になり、読んでみました。
まず、「ためし読み」で読み、その後しばらくして図書館でも見つけて読みました。
何度読んでも、作者の方の制作意図が伝わってきませんでした。
色々なお菓子の上で子どもたちが縄跳びをするだけで、ストーリーらしきものもなく、ナンセンスな絵本だなという印象です。
その割に、最後のシーンでは何か突き放されたような後味の悪さを感じます。
震災に対する作者の方の想いが、この作品を読んだだけで伝わるかなと疑問でした。
むしろ、メッセージ性を除いて、ただお菓子の上で縄跳びをするというナンセンスな部分だけの絵本にするか、あるいは、前半部分のお菓子の上での縄跳びの部分に、地震をほのめかす程度にした方が伝わりやすかったのかなと思います。
色々な感想を見ても、高評価の方は、奇想天外でナンセンスな世界を楽しむための絵本、と捉えられているようです。
私もそれだけの本ならむしろ楽しくて良いと思います。絵も素敵ですし。
ラストシーンの重苦しさは、子どもの批判精神を生むものではなく、むしろ地震に対する不安を掻き立てるもののような気がして…
この絵本から子どもがすんなりと「批判精神を学ぶ」ことは難しいと思います。
批判力は経験を積まねば身に付かないスキルです。安心・信頼・確立した自己を育むことなしに批判精神を持つ人間にはなれないのに、どうして疑わしきものを見たら批判してみろ、と子どもを突き放すのでしょうか。
二宮氏の他の作品で、息子が幼児期に気に入って繰り返し読んでいた本(『1と7』)があったので、ちょっとがっかりしました。