石でスープができるというこのお話、類話が多くて、いろんな動物たちが活躍するのですが、三人の兵士が機転を働かせて、村も自分たちも幸せになるという、この絵本が何故か一押しです。
きっと登場人物が人間だからなのですが、寓話として読み解くと、身の回りに怪しげなお話はいろいろとあるような気がします。
何もないところからスープなどできるわけはありません。
言葉巧みな話術でもって、村人たちはいつの間にか、すっかり信じきってしまいます。
隠し持っていた食料を嬉しそうに、出してきて兵士に渡すのです。
これはサギです。
サギだけれど、だれもそれに気が付きません。
兵士たちはもてなされ、幸せに旅立ちます。
村人も幸せでした。
いつか、現実に戻った時、村人はどう思うのでしょう。
これが、大金や財産であったらとんでもないお話ですね。
あらためて、人間のもろさを感じました。
でも、一点だけ良かった点があるとしたら、村人が疑うことなく、みんなで集うことができたということでしょうか。
これは、お祭り心理でしょうか。
うまい話の功罪ですね。