当世落語風絵本、と副題。
そう、「落語」風、なんですね。
ふむふむ。
それにしても、ほら話とはいえ、いかにもホラー感漂う表紙絵に、
覚悟を決め、深呼吸をして読み進めてまいりましょう。
松吉・お光夫妻と息子の小太郎の幸せな家族に早々に不幸が。
小太郎が大八車にひかれて死んでしまうのです。
大けがの亡骸に、せめてもと、縫い糸で手当てする母の思いに胸が締め付けられます。
さて、20年後、今度は松吉が死の床に。
ところが生還した松吉の襟首に手首が。
夢の中の三途の川での出来事が目の前にあり、夫婦はその手首を手厚くもてなすことになるのですね。
奇妙なエピソードですが、ところどころ笑いも交え、ほろり、とさせる人情話は
やはり落語テイスト。
大島さんの軽妙な絵がまた、絶妙です。
地獄や三途の川が理解できる年齢からでしょうか。