さつまいもが好きです。
あの形、紡錘形なんてりっぱな名前ではなく、頭とお尻がすぼまって、細長いのがあったり、でぶっちょがいたり、型にはまっていないのがいい。
色もいい。茶色というか土の色というか、いってみれば「さつまいも」色なんですが。
何より味がいい。
天ぷらにしてもおいしいし、ふかしてもおいしい。最近はスイートポテトなんて洒落た名前で出たりしていますが、やはり焼き芋が一番。
そういえば、焼きいも屋さんの「いしやきーも」なんていう声も聞かなくなりました。
私たちにそれほど親しみのある「さつまいも」を絵本にしたら、こんなにおいしい、いえ楽しい絵本になりました。
まあ素材はいいですから。
中川ひろたかさんが文を書いて、村上康成さんが絵を描いています。
ごはんも食べるさつまいもなんて想像するだけで楽しいです。トイレでしゃがんでるさつまいも、なかなか絵にするのは大変だったでしょう。
村上さん八百屋さんでさつまいもをいっぱい買ってきて、このさつまいもはお風呂にはいっているのにしようとか、トイレはこれに座らせよう、なんて考えたのかな。
もちろん、最後はきっと食べちゃったでしょうが。
そんな平和なさつまいもの世界にある日子どもたちがやってきて、いもほりが始まりました。
いもほりを「つなひき」に見立てるなんて、中川さんのセンスのよさが光ります。
もちろん、子どもたちが勝って、最後は恒例の落葉を集めて焼きいも大会。
でも、落葉で焼きいもなんていう光景はすっかり見かけなくなりました。
今の子どもたちは知らないのではないかしらん。
それでも、そんな絵がすっと子どもたちにはいってくるとしたら、日本人のDNA恐るべし、です。
それほど、さつまいもは日本人に愛されているのです。
そして最後はこれも恒例の、おなら。
おならがプーとでるくらい、さつまいもを食べたい。
スイートポテトでは出たことがない。
あれはどうしてでしょう。
現代日本の7不思議かもしれません。