本が大好きな少年、働き通しで少年を育てている母親、そのふたりの日常の生活ぶりと親子関係がしっかり伝わってきます。
その親子の日ごろの信頼関係がベースとなり、息子のために文字を読めるようになりたいと願う母親と、母親が本当は文字を読めないとわかったときの少年のおどろきを、すぐにママを助けるにはどうしたらいいのだろうとの考えに変える息子の姿が胸にしみます。
物語の中に、母親が、なぜ読み書きができないのか、くわしい説明はありません。でも、その暮らしや黒人のおかれていた状況などが、伝わってきます。
この「本が好き」という少年の強い気持ちと知的な好奇心が、母親を動かす・・というところが、子どもから大人までの読み語りをしているわたしにとっては、本の持つ力の大きさを改めて感じさせていただいた作品となりました。