昔話風のお話なので、蟹の恩返しかと思ったのですが、前世からの因縁、今世で果たすべき使命などが絡み合ったお話で、惹き付けられました。
とうきちが助けた蟹が、前世の記憶への案内役をしています。
「七右衛門は愛情が人一倍強く、そのため怒りや憎しみもまた強い力を持っていたのでした」という言葉に惹かれました。
心の中で、積もっていくよどんだ気持ち、恨み・憎しみなど癒すのが難しいように思いますが、その気持ちに執着し続けていると、抱えきれないほどの苦しさになっていくように思います。
前半の暗さと反対に後半では魂が浄化していくような感じを受けました。
読んだ後、強い印象が残ります。