画家でもある小野沢杉一さんの描いた東京大空襲の数々の光景を、早乙女勝元さんが自分の娘愛ちゃんに向けて作品化したものです。
1945年3月10日、ただその一日の大空襲で東京は廃墟となりました。
逃げまどう人たちの中に、勝元さんは愛ちゃんとかさねて「ふうちゃん」という女の子を登場させました。
突然の大空襲。
逃げまどう中での親との生き別れ。
様々な場面があって…、見ている私の祈りもかなわずふうちゃんは助かりませんでした。
戦争の残酷さを描ききった小野沢さんの絵の前に、きれいごとは許されなかったのです。
それにしても、早乙女さんのやさしさが、絵本におさめられた絵の残酷さを柔らかくしてくれています。
30年以上前に出版された絵本でありながら、今なお現役であり続けられる意味を感じました。