『星新一ショートショートセレクション6』(理論社)。
表題作である「頭の大きなロボット」をはじめとして、18篇の「ショートショート」が収められた、児童書。
装幀・挿絵(それぞれの作品にひとつ挿絵がついています)は、和田誠さん。
「頭の大きなロボット」は、忘れっぽいという欠点をもったエヌ氏が秘書替りに作ったロボットのお話。最初はなかなかうまくいっていたが、次第に欠陥が出てきて、それを補う機能を追加。今度こそうまくいったと思ったが、さらに新手の欠陥が発覚。それならとさらに機能を追加。さらに追加、もっと追加。とうとう頭が大きくなりすぎてエヌ氏の上に倒れ込んでしまう。
このショートショートを読んで、エヌ氏を馬鹿にできないことに気付かされる。
最近のスマホにしてもどんどん機能が増えて使いこなせなくなっている。だからといって、星さんが描いた世界よりも現在はうんと進んでいるのだろう、機能がどんなに増えても機器は大きくなっていないのだから。
ただ掌の中で、使いこなせない機能に啞然とするばかり。
さすがの星さんも、そんな現代人の姿を予見できなかっただろう。
ほかに面白かったのは、巻頭の「破滅の時」。
ある時、宇宙からやってきた異星人が「このままだと地球は破滅する」と予告して死んでいく。それに慌てたのが、わが地球の人類。戦争なんかしている場合じゃない。公害が破滅の要因かもしれない。では、みんなで公害をなくそう。あれはどうだ、これは問題だ、と人類は地球の破滅を食い止めようと必死になって、ついに地球にやってきた異星人の星にお礼がいえるところまでよくなった。ところが…。
こんな異星人、現れないだろうか。